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三代目 J Soul Brothers×STY×四季シリーズ

 なんだかとても大きなムーヴメントになったなあ、と無駄に冷静にボーっと考えてしまっているんですが、このCD NO OWARIみたいな時代で、現在71万枚強の売上だそうです、三代目 J Soul Brothers(以下三代目JSB)の『PLANET SEVEN』。普段はとりとめのないことは755に、ちょっとだけとりとめのあることはTwitterに垂れ流している私ですが、なんだか755が緊急メンテナンスでログインできないし、Twitterは文字数制限があるし、ここはいっちょ雑記記事書くか! ってことで書きはじめましたこの記事。

 三代目JSBさんの今回の快進撃は完全に(HIROさんを筆頭に)優れたブレインがいてこそだと思うんですが、彼ら各々のキャラクター性はもちろん、何より楽曲が大きく貢献していると思っています。だって正直私だって元々は「三代目(笑)」みたいな立ち位置でしたし、まさかメンバー全員の顔と名前が一致するくらいまで(岩ちゃんprpr)ハマるとは思ってませんでした。それは私の周りの人たちも同じで、「R.Y.U.S.E.I.」を好きだと言う人や、カラオケで「R.Y.U.S.E.I.」を歌う(そしてあまりの難しさに撃沈してランニングマンで誤魔化す)人を見る機会が格段に増えました。そりゃここまでファン以外をファンにしちゃったらレコ大獲っちゃうよね、極めつけにアルバムこんなに売れちゃうよねって思ってしまいます。

 そんなわけで(どんなわけだ)、今回はできるだけサラッと(?)四季シリーズに触れていこうと思います。ただ、曲について語ってしまうと長くなるので、今回は歌詞のほうにスポットを当ててみようかな、と思っています。それでは参りましょう。

 

 最初に「S.A.K.U.R.A.」についてですが、同じ四季シリーズ・同じSTYワークスといえど、「R.Y.U.S.E.I.」「O.R.I.O.N.」とはまったく別モノだと捉えたほうがいいと思います。まずジャケットの色がこの曲はピンク、「R.Y.U.S.E.I.」「O.R.I.O.N.」はブルーと、ヴィジュアル面で差別化がはかられています。そしてこの曲はSTY単独作曲かつSTYの"ルーツ"と言ってもいいファンク・サウンドで、"トレンド"であるPOP EDM「R.Y.U.S.E.I.」「O.R.I.O.N.」を共作したMaozonは参加(というかデビュー)していません。そしてこの曲の歌詞は名前に"Japanse Soul"を冠する彼らのテーマのごとく、和がテーマの"硬"な仕上がりになっています(なんてったって桜ソングですからね、舞い散らないほうの)。逆に「R.Y.U.S.E.I.」「O.R.I.O.N.」は、仲間感や楽しさ溢れる"軟"な歌詞に仕上がっています。そして最後に、「S.A.K.U.R.A.」にはSWAYによるラップがありますが、「R.Y.U.S.E.I.」「O.R.I.O.N.」にはラップがありません。ここまでハッキリした対比がなされていると、とても美しいですね。こんな感じで「S.A.K.U.R.A.」と「R.Y.U.S.E.I.」「O.R.I.O.N.」がどれだけ違っているかを長々と説明したところで、肝心の本題に入ろうと思います。

 この四季シリーズ、STYが手がけた歌詞は、特に歌い出しのAメロの部分がそうなんですが、文学的な仕上がりなのが最大の特徴だと思います。2014年のSTYワークスはすべて追いましたが、やはり職人さんなので、提供先によって歌詞の感じも変えていらっしゃる。そしてこれらは四季シリーズということで、四季をテーマにしているということは、より日本人の心の琴線に触れる必要があるというか、叙情的でなければならないというか、そんな大前提があったと思うんです。それを踏まえて歌い出しのフレーズをそれぞれ見ていきましょう。

 

・「S.A.K.U.R.A.」

 儚いや 泡沫のscene

 紡ぐきせ 通過点の

 胡蝶の舞 夢を見て

 常なら世に想いだけが募

 

・「R.Y.U.S.E.I.」

  あやかにひとつ

 銀のい SHOOTING STARS

 

・「O.R.I.O.N.」

 ソー泡のよう瞬き 空焦がし

 冬の大三かく形がシグナル もし誰見つけたら

 

 はあ、美しい……まるで文学小説からそのまま抜粋してきたような文学性……季語を取り入れた叙情的な仕上がりはもちろんですが、このワンフレーズごとの押韻の見事さですよ。基本的にはで踏まれていますが、「R.Y.U.S.E.I.」ではとつで踏む技も見られますし、無闇矢鱈にではなく、きちんと効果的な部分(伸ばす音とか高い音とか)で効果的に使われているのが流石ですね。私は何より「O.R.I.O.N.」が好きで、特に斜体にした部分の爪弾くかのように飛び跳ねるような感じが、ヴォーカルのディレクションも含めて本当に最高だと思います。日本語の歌詞を英語のように乗せるのがSTY流(それゆえ空耳不可避)……また、やっぱり「R.Y.U.S.E.I.」と「O.R.I.O.N.」が兄弟のような存在だと再認識した部分が、歌い出し冒頭の名詞です。どちらもあまりJ-popの冒頭で聞くような単語ではないチョイスですし、本当に文学小説のどこかからそのまま抜き出してきたみたいなはじまりかたがオリジナリティを放っていて本当に最高です……""も"ソー"も母音が同じではじまるところといい、さいすいという2文字の日本語をひとつの音符に乗せているところといい、なんというか、STY節全開! といった感じがたまりません。そして必ず比喩が使われている点ですね。硬質な「S.A.K.U.R.A.」では如くですが、軟質な「R.Y.U.S.E.I.」「O.R.I.O.N.」では様な・ようなになっていて、細かなところまでの職人としてのこだわりを感じます。言ってしまえば「S.A.K.U.R.A.」もブリッジ部分で"ように"というフレーズが出てくるんですが、こちらは流石に"如く"じゃちょっともたつきそうですし、それに情景を表現するうえで一番大切なのは一番最初のAメロだと思うので、Aメロで情景が聴き手にしっかり伝わってしまえば、私はそれで"勝ち"なんじゃないかな、と思います。

 

 と、まあいろいろと細かいところをネチネチと取り上げてしまいましたが、私が言いたいのは、レコ大に選ばれた理由が単なる流行りだからではない、というのが嬉しいんだということです。確かに「R.Y.U.S.E.I.」は大流行しました。それは本当に身を持って肌で体感しました。そしてその曲調がブチ上がるPOP EDMであることも、特に若い世代のアンセムとして、とても強いと思います。現に今、みんなランニングマンやってるじゃないですか。盛り上がりやすいものはシンプルなものだと言いますが、ランニングマンを見ていると本当にそうなんだなーと実感します。コレオグラファーELLY、アンタ最高よ……まあそれだけでも十分すぎるんですが、私は今回の記事で取り上げた歌詞が本当に大きい意味を持っていると思います。世間に広く深く浸透する"いい曲"とは、流行りのアーティストが歌い、トレンドの曲調で、みんなで踊れて、あとふたつ私が大切だと思うのは、みんなで歌えること、そして気持ちよく聞こえることです。みんながより気持ちよく歌えるように、より気持ちよく耳に・心に響くように、歌詞をつける人は押韻を含め、こういう工夫をたくさん施して、"いい曲"のエッセンスをこんなに散りばめてくれています。それをシンプルなかたちで、かつこれでもかとふんだんに取り入れたSTYの功績、そしてそんな曲がレコ大の大賞に選ばれたことは、J-popにとって本当に大きなことだと思います。改めまして、三代目JSBの皆さん、STYさん、Maozonくん、お偉方の皆々さま、おめでとうございます。2014年はまさに、あなたたちの年でした。

 

 で、アルバム『PLANET SEVEN』についてなんですが、"売れる"ということは本当に素晴らしいことですね。言いたいことは正直たくさんあるんですが、トレンドのホーンを取り入れつつ10年前のRich Harrisonのごときファンク・サウンドとミックスした「Eeny, meenie, miny, moe!」を冒頭に、その直後に大ヒットした「R.Y.U.S.E.I.」を、そしてアルバムの最後に「O.R.I.O.N.」を配しているという構成だけで、なんだか"勝ち"だなって思ってしまいます。ズルい。あれだけ「R.Y.U.S.E.I.」と「O.R.I.O.N.」を兄弟だって一緒くたにしておきながら、実は「R.Y.U.S.E.I.」はハイライトで、「O.R.I.O.N.」はオーラス的存在だと私は思っています。一番盛り上がる「R.Y.U.S.E.I.」に、イントロ(Maozonくん本当にGJ)を聴いただけで終わりを察知してサビで一緒に泣いちゃう「O.R.I.O.N.」……一番近いのに一番対極にいる、みたいな。そんないじらしい2曲です。そういうわけで、この2曲の兄弟喧嘩(1枚に同居していると不思議とそんな感じがしますw)でひとしきり感情を揺さぶられたあとは、是非STYがメイン・コンポーザーとヴォーカルを務めるユニットASYの「S.T.A.R.S.」を聴いて心を浄化していただきたいです。何故なら嬉しいことに、私たちは音楽のなかであれば、"EARTH"と"HEAVEN"を自由に行き来することが許されています。そう、それこそが本当の"MYSTICAL COSMIC WONDER"……「R.Y.U.S.E.I.」「24WORLD」「O.R.I.O.N.」と、LDHのアーティストとともに2014年を彩ってきたSTY×Maozonによる宇宙系POP EDMの完成形ですので、何卒よろしくお願いいたします! それでは、ここまで長々とありがとうございます!

 

 15/02/26