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超歌手大森靖子2019 47都道府県TOUR『ハンドメイドシンガイア』@NBCビデオホール 2019/08/09

 多分、きっかけは『アウト×デラックス』だったと思う。激情型シンガーソングライターという宣伝文句に惹かれたことと、昔からフォローしていて好きなものが信頼できるアンドーナッツ博士がツイートしていたことで、私はメジャーデビュー曲「きゅるきゅる」からファンになった。

 

 

 そしてメジャー1stアルバム『洗脳』を聴いて、突飛なことをやっているけど「ノスタルジックJ-pop」や「呪いは水色」等、純粋にいい音楽を歌っていることがわかった。

 その後、私は「マジックミラー」を初めて聴いて大泣きし、本格的にのめり込んでいった。2ndアルバム『TOKYO BLACK HOLE』は、今でも一番好きなアルバムだ。

 そこからは本業はもちろんドラマ『カルテット』出演や書籍の発売等あらゆる分野で活躍し始めて、だけどLINE LIVEで私たちに歌を届けてくれる姿勢は変わらなかった。

 そして4thアルバム『クソカワPARTY』のリード曲「死神」を初めて聴いたとき、死ぬまでにはこの人のライブを生で観てみたいと思った。それに、TwitterのDMで私がディーヴァになる夢を応援してくれたり、LINE LIVEでだいすけって男に裏切られたことを笑いに変えたりしてくれて、親近感があったのだ。

 私は人混みも遠出も嫌いでライブに行ったことがない人間だったが、人生初のライブが安室ちゃんの最後のドームツアーで、そこで安室ちゃんに「これからもいい音楽にたくさん出会ってください」と告げられた。私はその言葉通り、地元のフェスに行って吉澤嘉代子Mrs. GREEN APPLEを楽しんだ。次は誰のライブに行こうかな、と考えていたころ、大森靖子が47都道府県ツアーを行うことを知った。そしてなんの躊躇いもなく抽選に応募して、当選した。

 とはいえ初のライブハウス、治安とか大丈夫かな? と不安になって事前にネットの記事を読み漁っていたら、ホールに会場変更。座って観れるじゃん、と妙に安心した。

 いざ当日。その日は原爆が投下された日で、会社で黙祷を捧げた。癖の強い新人の教育に疲弊しながら(DMで新人教育について相談したっけ)、今日頑張れば明日から夏休みだし、何より大森靖子のライブだし、と気合いを入れて、定時を迎えたら後輩に「最近胸が肥大してさ~」というどうでもいい話で絡んで時間を潰して、会場へ向かった。

 会場には老若男女、いろんな人がいた。人と話すのが苦手そうな人、常連さんっぽい人、ヤンキー、大森靖子と瓜二つの格好をしている人、議員。その人たちが余所行きに自分を取り繕うことなく、その人たちのままで開場を待っているのが印象的だった。

 いざホールに入ると、キーボードにナナちゃんが鎮座していた。私はディーヴァだから、席はセンター以外選択肢がなかった。でも一番前は怖かったから4列目に座った。でっかいナナちゃんが会場を歩いて観客のスマホに愛嬌を振りまいていて、会場のBGMは浜崎あゆみ宇多田ヒカルだった。とても大森靖子らしいと思った。そうこうしていたらサウンドチェックが終わり、いよいよライブが始まった。

 

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「こんばんはー!超歌手・大森靖子でーす!!!」という無邪気な挨拶を皮切りに、

 

01. VOID

 シングル「絶対彼女 feat. 道重さゆみ」に収録されているバージョンだった。初っ端から会場は「VOID ME! VOID ME!」とハイボルテージ。

 

02. マジックミラー

 アルバム『TOKYO BLACK HOLE』と同じ2曲目という位置で披露されたキラーチューン。目頭が熱くなるのを感じながら聴いた。両手の親指と人差し指で四角形を作って、観客に目を合わせてグッと頷いていたのがとてもよかった。

 

03. ZOC実験室

 全国で唯一のホール公演になったから足の先まで楽しんで欲しいというMC。打って変わって激しいロックサウンド。「殺せ!」と繰り返し叫んだ後の「生きろ」に痺れた。

 

04. JUSTadICE

 歌唱力の向上によりキーのレンジが最大限に広くなったというこの曲。歌うことすら大変そうな曲なのにガッツリ踊っていて圧倒されたし、清々しさが凄まじかった。

 

05. 非国民的ヒーロー feat. の子

 コール&レスポンスで会場の一体感が高まったし、私は全力で口パク歌唱していた。

 

06. Re: Re: Love feat. 峯田和伸

 この曲、テレビでのパフォーマンスは激しさの極みだったけど、ライブで聴くと手拍子にしろサビ頭の「Re: Re: Love」にしろ、可愛さの極みだった。

 

07. 7:77

 7曲目にナナちゃんの歌。MCでナナちゃん(CV. おっさん)が「なんで長崎の人は美味しいちゃんぽん屋さんを訊くとみんなリンガーハットって答えるの?」って不思議がってて笑った。開演前に愛嬌を振りまいていたナナちゃんがステージに登場して踊っていてかわいかった。

 

08. 新宿

 原宿には原宿っぽい人しかいないし、秋葉原には秋葉原っぽい人しかいない。だけど新宿はいろんな人がいて、自分は誰でもないし、逆に自分は他の誰でもない自分なんだと気づくことができたと語っていた。今回のツアーで全国を周りながら、自分の新宿を各地に置いて行っていると。素敵な表現だなと思った。

 

09. JI・MO・TOの顔かわいいトモダチ

 大森靖子にとっての新宿のように、観客にとってもそれぞれそういう場所があるだろう、という流れで地元ソング。

 

10. family name

 弾き語りで披露された、ZOCのデビュー・シングル。アイドルならではの勢いを感じる原曲も、呪いのように歌われる弾き語りも、大森靖子の歌は1曲で2度美味しい。

 

11. 超新世代カステラスタンダードMAGICマジKISS

 長崎=カステラということで、この曲。大森靖子のマネージャー(通称:美マネ)は必ずスケジュール通りに動く人間だけど、長崎に来た時だけはスケジュールをズラしてまでカステラを買い漁るらしい。

 

12. KITTY'S BLUES

 私はメジャーデビューをきっかけにファンになったから、インディーズ初期のこの曲は(アルバムは持っているが)馴染みが薄かった。それでも聴いていて改めていい曲だと思った。今も昔も、いい曲を作るという芯は変わっていないと感じさせられた。

 

13. PINK

 初期の初期。中盤以降の怒涛の叫びは今でも顔を背けたくなるくらい激しくて、それはライブでも健在。圧倒的だった。圧倒的すぎて、この曲以降の会場は、拍手をすることすら忘れてしまった。

 

14. わたしみ

 今にも死んでしまいそうなトーンで披露されたこの曲は、命のように強くて儚いメロディーが会場全体をじんわりと包んだ。

 

15. 死神

 この曲を聴くために参加したと言っても過言ではない。最初はアコギ一本で歌われ、サビ終わりでバンド編成になった瞬間のカタルシスがすごい。

 

16. 流星ヘブン

 りゅうせいという男の子に心破れたばかりの私にとってこの曲は特別に聞こえて、何故か私はこの曲に「平成の終わり」を感じた。

 

17. あまい

 ライブ定番曲。会場に感情の渦が巻くようなパフォーマンスだった。

 

18. TOKYO BLACK HOLE

 そしてその渦は、ブラックホールとなった。私は「マジックミラー」「死神」で大泣きするだろうと思って参加したが、実際に泣いたのはこの曲だった。本当に優しい笑顔で歌われる「人が生きてるってほらちゃんと綺麗だったよね」というフレーズは、本当に会場のことを歌っているようだった。私の中でノーベル平和賞を受賞した。

 

19. LOW hAPPYENDROLL -少女のままで死ぬ- feat. 平賀さち枝

 きのこ帝国のあーちゃんが平賀さち枝パートを歌唱。まるで映画のエンドロールのような雰囲気で、本編が幕を閉じた。

 

20. オリオン座

 事前に観客にA4の歌詞カードが配布されていて、ステージにちょこんと座った大森靖子は観客にマイクを向け、嬉しそうに観客が合唱している様子を眺めていた。男性の低い声が目立っていたので、バランスを取るために私は1オクターブ高い声で歌った。さながらオペラの素養を持つディーヴァだった。

 

21. キセキ(※GReeeeNのカヴァー)

 コール&レスポンス「お前が一番かわいいよ」を観客に言わせようとしたとき、ピエール中野がドラムで茶化す。大森靖子が「私、肯定されちゃいけない気持ちになった」と拗ねて、トークタイムに。いつもはトークが長くなるとイライラするPAの田口さんがいるそうだが、今回はいないから喋り放題だね! と盛り上がっていた。

 終始真顔で機嫌が悪いのかと思っていたピエール中野が「長崎いいね!俺長崎めちゃくちゃ好きなんだよね!」という発言をきっかけにご機嫌に話し始め、「長濱ねるありがとうってことですよ!」と欅坂46を卒業した私の高校の後輩に感謝し、「リンガーハットの麺半分は俺がきっかけでできた」と宣言。大森靖子も対抗して「野球を観戦したとき、私ひとりだけ大声で「キセキ」歌ってたらそれがきっかけで周りも歌うようになった」とマウンティング合戦を始める。それを笑いながら聞いていたら、いよいよコール&レスポンス仕切り直し。

 

22. 絶対彼女 feat. 道重さゆみ

 観客に「お前が一番かわいいよー!」と大森靖子を肯定させ、次に「私が一番かわいいの♡」と観客に自己を肯定させる。会場中が全肯定されて、遂に最後の曲。インディーズ時代の原曲ではなく、道重さゆみを迎えたシングルバージョンの歌詞で披露された。私は天才ディーヴァなのでサビの振り付けを一番の内に覚えて踊った。それを見た大森靖子は確かに、私に目を合わせて小さく「かわいい♡」と言ってくれた。

 

「超歌手・大森靖子でした!ありがとうございましたー!!!」と無邪気に挨拶してはけていき、終演。なんとも言えない余韻に包まれながら、各々が夜の街へ。

 

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 「さようなら」「ミッドナイト清純異性交遊」「君と映画」「絶対絶望絶好調」「きゅるきゅる」「ノスタルジックJ-pop」「子供じゃないもん17」「呪いは水色」「生kill the time 4 you、、♡」「愛してる.com」「さっちゃんのセクシーカレー」「劇的JOY! ビフォーアフター」「ドラマチック私生活」「少女漫画少年漫画」「ピンクメトセラ」「アナログシンコペーション」「みっくしゅじゅーちゅ」「きもいかわ」等、他にも聴きたい曲はいっぱいあったけど、すごく胸が満たされた。いつもなら腹が立つバスの遅延も、その夜はどうってことなかった。

 そして生で観た大森靖子は、かわいいを具現化した衣装と白い肌のコントラストがまばゆくて、どこまでも無邪気で、どこまでも優しくて、どこまでも狂気的な女神だった。

 大森靖子が観客と向き合って作る空間はまさにハンドメイドで、とても心地良い時間だった。あれは夢じゃなかったよね? と思うくらいに。実際、ファンが公開したセットリストにも、大森靖子が公開したセットリストにも、「TOKYO BLACK HOLE」は入っていなかった。私がセットリストを公開したファンに「歌ってくれませんでした?」と訊くと「あ、歌ってくれました!」と訂正してくれたので、恐らく夢ではないはず。だけど、その後しばらくしてリムられたから、夢なのかもしれない……だからこの記事は、あの時間が現実だったことの証拠として残すことにする。

 

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ライブ開演前の様子

 ありがとう、大森靖子